化粧
2016-09-02


満席の通勤電車。
化粧に余念の無い女性がいる。

すっぴんの素顔よりは化粧した顔を他人に見せていたい。
そう思うのであろうその人が、
電車の中とか喫茶店で化粧する
ということがどうにも理解できない。
オシッコしているところを見せられてしまったように思えて
目をそむけてしまう。

化粧の技をわざと見せているのではないか、
という人がいる。
化粧した顔を見せたいのは特定の人であって、
その他の人はどうでも良いのではないか、
という人がいる。

どちらも、どうもしっくり腑に落ちない。

化粧をしているその顔、表情に、
まったく他人が写っていないように見えるからだ。
他者の視線というものの意識が欠落している。
イヤースピーカーで音楽を聴きながら
スマートフォンでゲームをしている人の表情と同じだ。

謎は、他者の視線が無い世界に生きるその人が、
なぜ他者に向けた顔を作る化粧という行為をするのか、ということ。
こういう人にとって化粧は、
他者との関係の中にある顔=ペルソナを形づくることではなく
ナルシスティックな自画像を描く遊戯なのかもしれない。

そんなことを、通勤電車で考えた。
ヒマだな、おれ。

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